絶滅危惧種(アムールヒョウ)
絶滅危惧種の中でも「世界でもっとも希少な大型ネコ科動物」と言われるアムールヒョウについて、その特徴や生息地、現状をまとめました。
1. どんな動物?(特徴と生態)
アムールヒョウ(学名:Panthera pardus orientalis)は、ヒョウの亜種の中で最も北に生息しており、厳しい寒さに適応したユニークな進化を遂げています。
・「冬服」への着替え: 冬になると、体毛が最長で約7cmにも伸び、雪の上でも体温を奪われないよう密度が高くなります。夏は黄色みが強いですが、冬は雪に紛れるよう白っぽい淡い色に変化します。
・雪上のスペシャリスト: 他のヒョウに比べて脚が長く、深い雪の中でもスムーズに移動できます。また、時速約60kmで走る俊敏さと、一度に3メートルも飛び上がる驚異的な跳躍力を持ち合わせています。
・美しい「指紋」: 黒い斑点(ロゼット)が大きく、隣り合う斑点との間隔が広いのが特徴です。この模様は人間でいう指紋のように個体ごとに異なり、個体識別の手がかりになります。
2. どこに住んでいる?(生息地)
かつてはロシア極東、中国北東部、朝鮮半島にかけて広く分布していましたが、現在はロシア、中国、北朝鮮が接する国境付近のわずかな森林地帯にしか生息していません。 主な拠点はロシアの「ヒョウの森国立公園」で、温帯の広葉樹林や針葉樹が混ざり合う、崖の多い山岳地帯を好みます。
3. なぜ絶滅しそうなの?(絶滅の危機)
20世紀末には、野生の個体数がわずか25〜30頭ほどにまで落ち込みました。
・密猟と毛皮取引: その美しい毛皮を狙った密猟や、伝統薬の材料にするための狩猟が大きな原因です。
・生息地の消失: 森林火災や農地転用、道路建設により、広い縄張りを必要とする彼らの居場所が断片化されました。
・遺伝的多様性の欠如: 個体数が少なすぎて近親交配が進み、病気への耐性が弱まるなどのリスクを抱えています。
4. 2026年現在の最新状況
絶望的な状況にありましたが、近年の強力な保護活動により、野生個体数は約130頭以上(ロシア側に約130頭、中国側にも定着を確認)まで回復しました。2025年の調査では、生息密度が過去10年で最高を記録しており、少しずつですが明るい兆しが見えています。
現在は、動物園で飼育されている個体を野生に戻し、遺伝的な多様性を回復させる「再導入プロジェクト」も国際的に進められています。